毎月第3土曜は訴訟学習会を開催しています。
11月17日の学習会の報告をMLに流してくれました。
記録は大切なので助かります。ありがとうございます。
そして皆さんにも、紹介します。
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関西訴訟原告事務局Kです。
11月17日に行われました原発賠償関西訴訟サポーターズ訴訟学習会「原発事故避難者と国際人権法」のご報告です。
講師:徳永恵美香氏(大阪大学大学院 国際公共政策研究科 招へい研究員)
1.人権とは?
・すべての人は一人の例外もなく、一人ひとりが人であるということだけで、かけがえのない尊い大切な存在であるということ。
人間の尊厳を前提とする。
・1948年12月10日、世界人権宣言が国連総会で採択。
・意見、発表の自由、労働の権利、移動と居住選択の自由、婚姻と家庭、財産の権利、教育の権利。
2.国連人権理事会
・国際連合総会の補助機関の1つ。
・国際連合加盟国の人権の状況を定期的・系統的に見直すことにより、国際社会の人権状況
を改善しつつ、深刻かつ組織的な人権侵害などに早急に対処するための常設理事会。
・2006年6月19日に発足。(日本を含む47カ国の理事国、年3回の会合)
・2013年5月、特別報告者アナンド・グローバー氏が国連人権理事会に対し、福島の原発事故後の人権状況に関する事実調査報告書を提出した。
・2018年10月25日、特別報告者バスクト・トンジャック氏が「福島の原発事故の避難解除の基準はリスクがある」と指摘した。
3.国連人権理普遍的・定期的レビュー(UPR)
・UPRは人権理事会の創設に伴い国連加盟国(193ヶ国)全ての国の人権状況を普遍的に審査する枠組みとして盛り込まれた制度。
・国連加盟国各国は4年半で全ての国が審査される。
・審査基準は国連憲章、世界人権宣言、当該国が締結している人権条約、自発的誓約、適用されうる人権法。
・審査は1年間に3回人権理事会の定期会合以外に開催される作業部会の形で行われる。
・作業部会における審査においては国連加盟国全てが
議論に参加し、人権理事会理事国3か国(くじ引きにより決定。が1チームとして被審査国の報告者国となる。
・NGOも作業部会を傍聴することが可能。
・審査結果としての結果文書は人権理事会本会合で採択される。
・第2回UPR審査 2012年10月 人権理事国オーストリア政府による日本政府に対する勧告
「福島に住んでいる人々の健康と命にたいする権利を放射能の危険から保護し、健康権の特別報告者が避難した被災者や市民社会団体と確実に会談できるようにするため、必要な全ての措置を講じること。」
・第3回UPR審査 2017年11月 オーストリア、ドイツ、ポルトガル、メキシコより原発事故被災者対応について勧告が出された。⇒「日本政府はこども被災者支援法に基づき必要な支援を行っているし、福島県が健康調査を行っている。」とコメント。既に必要な支援を行っているという説明は、これまでの政策を見直すつもりはないという宣言でもある。
4.国内強制移動に関する指導原則
避難が国境を超えると難民認定されて国際的に人権保障がチェックされるのに対して、国内避難民の権利が自国政府に保障されないことを危惧して1998年に作成され、 2005年のサミットの成果文書で国際的枠組みとして認識された指針。
5.国連からの勧告や指導原則をどう活かすか?
・新たな避難者支援立法?条例制定?
・裁判で後退的措置の違法性、社会権規約2条2項の直接適用可能性。・
・国や自治体との交渉。
<感想>
まずは学習会の準備に奔走いただいたサポーターの皆様ありがとうございました。
「人権」という大きなテーマからの学習をするにあたりまして、1時間という時間は短く、結果、駆け足での学習となり、頭の中でうまく整理ができなかったのは少し残念でした。
とはいえ、大事なことは、こうした勧告を無駄にすることなく、日本社会はもとより国際社会へもどんどん訴えていく必要性があるということをあらためて実感しました。
そのためにも英語のスキルアップは必須であり、また粘り強く交渉していくことはいかなる場合においても必要不可欠でもあるとも感じました。
人権や勧告については、今後も定期的に学習したいですね